青空と青い海、心おもむくまま

ご訪問ありがとうございます。このブログのきっかけは、もともと会社時代に社員の皆さんにお送りしていたレターでした。会社や人生の様々な悩みに対するヒントや、楽しく働くきっかけになればと書いていたものです。退職後も引き続き、日々の思いを書かせて頂いております。何か少しでも参考になれば幸いです。また、皆さんからご意見も頂ければ嬉しいので、よろしくお願い致します。

伝わらない話し方(2023/8号)

今月は「伝わらない話し方」というお題で愚考をお送りします。

話が伝わらないのには、自分のことばかり、話が思い付きで長い、主観的でわかりにくい、どうでもよいことが多いなど、話し手に問題があることが多いようです。相手の気持ちを思いやり、平易な言葉で短く端的な話し方を心がけましょう。

人の話を聞いていない

以前にもお話しましたが、人は他人の話の八割を聞いておらず、話の真意のほとんどは伝わっていない、といっても過言ではないかもしれません。雑談は通じるのに、真剣な真面目な話ほど理解されない、なんてことはありませんか。当然、聞く側にも問題はあります。

伝わらない話し方

ただ、一番には話す側に問題があり、そもそも伝わらない話し方をしていることが原因だと思います。例えば、

  1. 自分の話ばかりする、
  2. 思いついたまま話をし、ダラダラと長い、
  3. 話が主観的で、専門用語が多く、感情を露わにする、
  4. どうでもよい話が多く、妙に高圧的だったりへりくだったりする

等があります。(これを読んで「自分は違うけど」と思った方が一番危ないかも…)

気持ちが先行して伝わらない

そもそも上手な会話とは、聞き方7割、話し方3割と言われています。それなのに人間は話したいことがあると気持ちが先行し、自分の言いたいことを我慢せずに滔々(とうとう)とまくし立ててしまいがちです。思いついた順に言いたいことを口にします。そうなると聞いている方はたまらず、耳を塞ぎ聞く気も失せます。結局何を言われたのか、話の輪郭すら理解できなくなります。さらに、話がいちいち長いと、聞く方は言っていることを理解しようとするだけで疲れてしまいます。まるで出来の悪い英語の長文読解のようで、一度でストンと腹落ちしません。

主観的で伝わらない

話が主観的なことも聞き手の理解が進みません。会話には、話す人の主観だけでなく、誰もが理解できるような客観的なデータや事例、固有名詞などを織り交ぜないとイメージを共有できません。相手は自分とは違うのです。専門用語やカタカナ言葉、業界用語の多用も同じです。それらはしょせん身内言葉でしかなく、逆に聞き手の理解を阻害します。思い入れが強く感情的になり、相手に最後まで話をさせないようになると、相手の気持ちは汐が引くように引いてしまいます。そうなると「どうしてこんな簡単な事がわからないのか」と、ますます悪循環に陥っていきます。

いつまでも本題に入らない

また、私たちは一般に、会話を潤滑にするために話の間に接ぎ穂を織り込みます。けれどいつまでたっても本題に入らず、調べればわかるようことまで延々と聞いたりすることは、いたずらに話を薄っぺらく長引かせるだけで、聞き手の気持ちをザラつかせます。加えて、高圧的な話し方はいまどき論外ですが、妙にへりくだられるのも困りものです。親しき仲にも礼儀ありとはいえ、いつもへりくだられると慇懃無礼(いんぎんぶれい)にすら感じてしまいますし、しまいには話の真意が理解できなくなってしまいます。

伝わる話し方

このように、自分では気が付いておらず、そうは感じていないかもしれませんが、案外真面目なほど話って伝わらないものです。では、どうしたら良いでしょうか。

まず、自分の話が多い方は相手の一番知りたいことを最初に話しましょう。立場を利用して自分の話したいことを優先しない、上手な会話には我慢が必要です。会話はストレス発散の場ではなく、大事な意思の伝達の場です。自分の思いは横に置き、弱みをさらして相手の懐に飛び込み、相手のことを理解しようと味方になる。フリではなく真心で話をする。そういう、相手に対する思いやりが大事ではないでしょうか。

短いフレーズで

ダラダラと長い方は、とにかくフレーズを短く切ってみます。きっと物足らないでしょうが我慢して短く。そして、話し方の順番を変えます。最初に結論、次にその理由、そして具体例、最後にもう一度結論。これが一番シンプルで伝わりやすい。言いたいことをすべて伝えようとしない。何でもかんでも話の枝葉まで同時に伝えようとするから分かりにくいのであり、話の幹の部分が理解されればよし、とします。

客観的に聞いてみる

また、主観的な話の多い方は、一度ご自分の話しっぷりを録音して客観的に聞いてみてください。きっと驚くほど自分の話がわかりにくいことに気が付かれると思います。カタカナも業界用語も使わず、誰にでも理解できるよう分かりやすく話すことは本当に難しいことです。まずは自分の感情の動きを抑え、あえてゆっくりと一呼吸置いて、噛んで含めるように話すことで、会話の中に考える間(ま)を作ってはどうでしょうか。

相手のことを話題にする

会話の接ぎ穂は、できる限り相手のことを話題にします。自分に関係する話題だと相手も話に乗りやすくなります。そもそも会話は、話し手と聞き手が対等な立場であることが大事です。居丈高やへりくだりは、聞き手側にバリアを張らせ、無意識に両者の間に階層を作ります。何にも増して、言葉足らずであったり持って回ったような回りくどい言い方は、結果的に真逆の意味にとられてしまいかねません。

言うは易しですが

このように、伝えるためには「勢いで話さず、相手の話をよく聞き、どう話せば相手に理解されるか考え、話す前にひと呼吸入れ、平易な言葉で結論から短く話す」ことが肝要です。とはいえ言うは易しで、そう簡単でないところがやっかいです。…