青空と青い海、心おもむくまま

ご訪問ありがとうございます。このブログのきっかけは、もともと会社時代に社員の皆さんにお送りしていたレターでした。会社や人生の様々な悩みに対するヒントや、楽しく働くきっかけになればと書いていたものです。退職後も引き続き、日々の思いを書かせて頂いております。何か少しでも参考になれば幸いです。また、皆さんからご意見も頂ければ嬉しいので、よろしくお願い致します。

ひと息入れよう(2023/9号)

今月は「ひと息入れよう」というお題で愚考をお送り致します。

最近相手の気持ちを思いやることができないハラスメントが増加しています。そうならないためには、おかしいと思ったら一度立ち止まり、過去の成功体験を引きずらない、何事も自分の思った通りにはいかないもの、一人でできることには限りがある、と考え、はやる気持ちにひと息入れましょう。

意識しないハラスメント

最近、内外ともにハラスメント関係の問題が増えてきているような気がします。今マスコミを賑わしている、自動車関連のBさんなどもまさにそうです。なぜ増えてきているかというと、自分の言動が相手に対してどのように影響するか想像する余裕が無くなってきているから、と言われています。下手をすると、ハラスメントを指導する立場の方々でさえ、それがハラスメントであるということをまったく意識しておらず、いわんや意識せずに行動していること自体が大きな問題となっています。特に、これまでご自分自身が厳しく指導をされてきた方たちや、厳しく指導することで成績を上げることが当然だとされる環境で育ってきた方たちにとっては、それ以外の関わり方を想像することは難しいのかもしれません。

互いに思いやる気持ちの欠如

その結果、今さえよければよい、自分さえよければよい、という最近の風潮と相まって、お互いが数字だけの殺伐とした関係になってしまった気もします。当人は決してサボっている訳ではなく、むしろ熱心になり過ぎて時間に追われるような生活を続けることで、周りの方のこころを思う、思いやるという想像力が急激に欠如していってしまうのではないでしょうか。その結果、頑張っているはずなのに無意識に相手を傷つけてしまい、相手も自分を守るために殻に籠り、双方でハラスメントが生まれる素地を作ってしまっています。

立ち止まる勇気

 では、どうすればそういったハラスメントを減らすことができるのでしょうか。

山登りの世界では、道に迷ったら歩き続けずに立ち止まることが鉄則です。勇気のいることですが、無暗に歩き回るより立ち止まった方が助かります。同じように、仕事であっても、おかしいと思い迷ったら立ち止まればよいのです。「歩き続けなくてはいけない」という強迫観念から、動き出したら立ち止まることを許さないのは、まるでどこかの軍隊のようです。一度決めたことを翻してはいけないという法はなく、その時々に合わせて朝令暮改をすればよいのです。私たちは、そういう無謀で自己中心的な強制が、結果的にハラスメントを生んでいることに気が付かなければなりません。

過去の成功体験を引きずらない

次に、これは当たり前な話ですが、時間というものは刻々と流れています。ですから、あの時こうだった、こうすればよかったと過去を悔やんでも仕方がありません。その時点で私たちができたことがベストであり、今の自分が過去を批判し後悔してもしようがないことです。加えて、いつまでも過去の成功体験を引きずり、良かったところだけをパッチワークのように求めても、それも現実にはできないことです。そういうのは前向きな反省とは呼べず、結果的にハラスメントにつながってしまいます。

何もかも思い通りにはいかない

また、業務に熱心な方ほど、ご自分のやり方、流儀というものを持っていて、それに基づき結果から逆算して一から十まで見通しを立てられる方がおります。とても素晴らしいことなのですが、人生というものはそんなに合理的ではなく、時には予期せぬ方向に向かってしまうこともあります。そういう様に何ごとも計算通りにはいかないものだ、ということを認め、それを容認しなければ、やはりハラスメントの芽が育ってしまいます。ご自分に厳しいのはよいかもしれませんが、物事は思い通りにはなりませんし、ましてや周りの方に無意識に同じレベルで求めていませんか。

一人で力んでもしようがない

最後に、共同体では人間は決して一人では生きることはできない、のです。一人で力んで(りきんで)もロクなものは生まれませんし、できる事は限られています。また、自分の考えられる範囲だけでは、仕事は小さくなってしまいます。会社という共同体の中にいる皆さんは、互いに何らかの影響を与え合っており、各々がそこにいるだけで貢献しているといっても良い、と思います。あの人は仕事ができない、だめだ、とかそもそも誰が決めたのでしょうか。その評価のハードルを徐々に上げていくと、最後には自分以外誰一人残らないことになります。実はそのハードルは自分を基準として設定したものです。そう、あなたは何かに急ぎ過ぎていて、自己中心になり過ぎていませんか。決して自分さえ良ければよいとは思っていないのかもしれませんが、結果的に考え方が自己を中心として寄ってきてしまっていませんか。頑張っているのだから自分は違う、という免罪符はありません。

立ち止まってひと息いれる

一旦立ち止まって、ひと息入れましょう。一歩引いて鳥のように俯瞰してみると、また違った有り姿が見えてきます。ひと息入れて立ち止まり振り返る時間を持つことで、相手のこころを思いやる気持ちが生まれ、ハラスメントから良好な人間関係へと変わっていくきっかけになる、と思うのです。