青空と青い海、心おもむくまま

ご訪問ありがとうございます。このブログのきっかけは、もともと会社時代に社員の皆さんにお送りしていたレターでした。会社や人生の様々な悩みに対するヒントや、楽しく働くきっかけになればと書いていたものです。退職後も引き続き、日々の思いを書かせて頂いております。何か少しでも参考になれば幸いです。また、皆さんからご意見も頂ければ嬉しいので、よろしくお願い致します。

信じる力(2023/10号)

今月は「信じる力」というお題で愚考をお送りしたいと思います。

トムホーバス監督や栗山監督は選手に対して、信じると言い続けて結果を残しました。人間は、はなから出来ないと思わず自分を信じることで成長します。人を信じたいという気持ちは誰しももっていますが、丸呑みせずに自分で確かめることも大事です。人は信じられることで力を発揮するということを、とことん信じてみませんか。

信あれば徳あり

ちょっと古い話ですが、WBC優勝の栗山監督や男女バスケットボール日本代表のトム・ホーバス監督がよくおっしゃった言葉に「信じる」があります。「信じる」には、自分自身を信じる、相手や人を信じる、チームや組織を信じる、と様々あります。両監督は戦う前から選手が気持ちで負けないように、自分、同僚、チームを信じてと、念仏のように言い続けたということです。「イワシの頭も信心から」ということわざがありますが、それより「信あれば徳あり」とか、「虚仮(コケ=特別でない人)の一念岩をも通す」とかいう表現が適切なのかもしれません。

自分を信じることは楽しいこと

自分というものを信じ、自分の可能性や能力を信じる。今はできていないかもしれないけど、いつかきっとできるようになると信じる。「できない」からと端(はな)から諦めるのと、「できるかもしれない」と信じるのとでは、どちらが成長するか。誰かとの比較で「あいつよりできる」ではなく、今の自分と将来の自分との比較で「成長する」ことを信じる。信じることをやめた瞬間、そこで全て止まります。信じ続けなければ何も進めないし、進まなければ成長もありません。ただ、信じ続けることは決して楽なことではありません。さらに、信じるだけでは何も生まれません。自らもがき苦しむ努力が必要です。そして、苦しんだ先に何かしら待っているからこそ頑張れる。それが楽しいのではないでしょうか。つまり、信じることは楽しいことかもしれません。

信じてはいけない?

しかしながら、悲しいことに世の中ではオレオレ詐欺が蔓延しているような今日この頃です。学校ですら、何でも簡単に「信じる」なんてしてはいけない、と教えています。私たちは、これからの渡世において人を信じてはいけないのでしょうか。そう言われても、常に疑心暗鬼で人を疑って生きていくことは、それはそれで大変です。いつも、肩ひじを張って気持ちをざわつかせているって、何とも気持ち悪いものです。

本当は信じたい

私が楽観的で性善説なのかもしれませんが、人は「素直に信じ切ることで得られる心の平静」といったものを求めているのではないでしょうか。本当は、人は「信じたい」のではないでしょうか。ただ、これまで受けたこころの傷や嫌な思い出、失敗などが、トラウマとなって素直に人を信じることを阻害しているような気がします。それを払しょくするのは並大抵ではありませんが、まずはそういう自分を直視し、そんな自分を理解してあげることが、信じるための最初の一歩となるかもしれません。

見ることは信じること

ただし、信じるということは決して相手の言うことを丸呑みすることでもなく、盲信することでもありません。自分に対してもそうです。自分自身を信じることはとても大事ですが、自分の経験や知識が全て正しいとは限りません。信じることと正しいことはまったく別物です。常に自省し、自分を見直し修正していくことが大事です。自惚れてはいけません。他人や組織に対しても同じことが言えます。自分で考えもせずに、面倒くさいと相手の意見や組織の考えを盲信し丸呑みし、巻かれてしまうことが信じることではありません。正しいかどうかは自分で考え判断しなければいけません。「見ることは信じること」と言います。聞いたことを丸呑みせず、自ら動いて自分で見てみなければ、それこそ考えることも信じることもできないとは思いませんか。

信じられれば裏切らない

 「信じる」とは「人に言う」と書きます。人同士が言葉で約束を交わす、という意味で、「まこと」とも読みます。ある意味人というものは単純で、自分が誰かから信じられているとわかると、大半はそれを裏切らないように努力します。

上司と部下の信じる関係

ですから、盲信や丸投げは禁物ですが、上司は部下をとことん信じて見守る勇気が必要です。信じていても失敗は起こります。ですから、上司は投げっぱなしで放置せず、相手本位で部下が成長するようフォローしなければなりません。失敗するから信じないのではなく、失敗したら一緒に成長を促す。信じられた相手は期待に応えようと努力し成長します。さらに、上司が常に能力で部下を上回っている訳ではありません。上司には経験知があっても、部下の方には柔軟性や吸収力、瞬発力があります。多少の失敗があっても、部下の方が自分より優秀だと認める勇気も必要です。認めた上で上手にフォローすれば、1+1が3にも4にもなります。そして、3や4にするためには「そうなる」ことを疑わずに信じることも大切です。

信じることで力は発揮される

皆さんが職場や自分の居場所を心地よいものにしたいのなら、自分を信じ、相手を信じ、チームを信じて、その結果「信じる力というものが力を発揮する」ことを信じてみてはどうでしょうか。