青い空と青い海、心おもむくまま

ご訪問ありがとうございます。このブログのきっかけは、もともと会社時代に社員の皆さんにお送りしていたレターでした。会社や人生の様々な悩みに対するヒントや、楽しく働くきっかけになればと書いていたものです。退職後も引き続き、日々の思いを書かせて頂いております。何か少しでも参考になれば幸いです。また、皆さんからご意見も頂ければ嬉しいので、よろしくお願い致します。

こだわる、ということについて(2022/10号)

今月は「こだわる(拘る)」ということについて、愚考をお送り致します。

こだわりという言葉には、良い意味と悪い意味があります。仕事の上でこだわる時、何に対してこだわるのか、そして、自分自身は最終的に何にこだわるのか、一度整理してみましょう。それがわかれば、良い意味で適当になり、どうでもよいことまでこだわるのはやめ、白雲自在に生きてみませんか。

「こだわる」の意味

「こだわる」とは、考え方が一つのことに縛られる行為を言いますが、一般に良い意味で使われることも、悪い意味で使われることもある言葉です。

良い意味では、行動や考え方に信念があり、納得するまで妥協しないというような「こだわりの〇〇」とかいう言い方で使われ、その結果、緻密で良いもので信頼できるという評価を得て、業績や個人の評判の向上に寄与します。

一方、悪い意味では「○〇に拘泥(こうでい)する」といったように、一つのことに執着し続け固執する、頑固でわからず屋といった意味に使われ、その結果、大局を見失いやすく、やり方や考え方がいつも同じに陥り、突然の変化や逆境に弱い等、決して良くない評価に繋がります。同じように頑張っても、そのこだわるやり方や程度によって180度違う評価になってしまうこととなります。

仕事の上でのこだわり

一方仕事の上では、どんな仕事であっても拘りは求められます。拘りのない仕事に対しては、お客様からも会社からも評価は得られません。単純作業であっても、些細なことであっても、同じ作業だとしても、常にちょっとした拘りを持つことで、結果は見違えて異なってきます。それが、プロとしての拘りであり矜持です。ただ、ここは誤解が生じやすいところですが、すべての仕事には前提条件があります。時間、予算、人材、物など限られた制約の中で最大限の成果を上げることが、仕事というものの大前提です。種々拘り抜いて100点満点の完璧を目指すことはとても大事なことですが、決められた期限や予算が守られていないようでは、そもそも違ってきます。

何のためのこだわりか

まだ、60点の方がマシ、です。個人の世界であれば、とことん拘り究極を目指し納得いくまでやり尽くせばよいでしょうが、組織の一員としては異なります。いずれにせよ、物事に拘るということは大事なことなのですが、そもそも、拘るという行為は手段であって目的ではありません。人は、時として「拘ることに拘ってしまう」といったような本末転倒に陥ることもありますが、それだけは避けたいものです。自分は何で、何のために、何に拘るのか、一度深呼吸して落ち着いて見直してみましょう。

自分自身のこだわりは何か

では、そういう「自分自身の拘り」とはいったい何なのでしょうか。

まず、自分が「何に拘っているのか」自覚しましょう、何にどう拘っているのか。そして、拘り続ける理由を明確にする、そもそも拘ることの意味は何なのか、誰かのためなのか、何かのためなのか、それは単なる偏見や自己満足なのではないのか等々。

さらに、その拘りは捨てられるのか、小さい拘りや大きな拘りなどいろいろとある中で、どうしても捨てられない拘りはあるのか否か。そして、いろいろ考えた結果どうしてもこれだけはとなった場合、「今の自分にはこの拘りは捨てられない」と自覚し、それを捨てることを諦めて、その事実を認めるしかありません。

いちいちこだわらない

ここまで自分の中の様々な拘りについて整理ができれば、自分自身の拘りとは何なのか、それ以上突き詰めなくても良いのかもしれません。その整理をもとに、これからは何でもかんでもつまらないことにまでにいちいち拘らない、自分が拘るべきと思うところだけ拘る、それだけでずっと楽に生きていけるようになります。

ツボの入れる順番

 寓話にあるように、岩と砂とを一つの壺に一緒に入れようとしたとき、その入れる順番を間違えると全部は入らなくなります。砂という小さいものから先に入れてしまうと、岩という大きなものを後から入れることはできません。岩という本当に大事で拘るべきところを優先し、砂といういつでも入るような些細なことは適宜受け流しておくぐらいでないと、大事な時間を有効に使うことはできない、ということです。

白雲自在、適当にこだわりを捨てる

「白雲自在」とは、形を変えながら流れていく白い雲の様子のことを言います。流れる雲の如く、つまらぬ拘りを捨てることで心に余裕が生まれます。「こうでなければならない、こうしなければならない」という縛りなど何もないのです。たまたまこれまでがそうだっただけで、先のことはわかりません。ですから、是々非々で良い意味での「適当さと柔軟性」を持って仕事に取り組みませんか。「どんなに頑張っても、自分の力だけでできることなんてそんなに多くはない」と考えて、今のこだわりをサラッと捨てるととても気が楽になります、仕事も人生もきっと何とかなるものです。・・・