青い空と青い海、心おもむくまま

ご訪問ありがとうございます。このブログのきっかけは、もともと会社時代に社員の皆さんにお送りしていたレターでした。会社や人生の様々な悩みに対するヒントや、楽しく働くきっかけになればと書いていたものです。退職後も引き続き、日々の思いを書かせて頂いております。何か少しでも参考になれば幸いです。また、皆さんからご意見も頂ければ嬉しいので、よろしくお願い致します。

退職代行サービス真っ盛り、多様化する価値観の理解を(2024/5/10)

退職代行サービス真っ盛り

楽しかったGWが明けてしまい、退職代行サービスが活況を呈しています。昔からあった五月病に、期待と現実のミスマッチが掛け合わされた結果ではないでしょうか。確かに一か月ぶりに学生時代のように自由を満喫した後に、また九時五時の生活に戻ることに抵抗を感じるのは、新入社員のみならず現役の皆さんも同じかもしれませんが。

前回、退職代行サービスを使うことに疑問を呈しましたが、今回はその退職に至る背景について考えてみたいと思います。

ゆとり世代と昭和世代

そもそも今の新入社員たちは、この三年間のコロナ禍により対面に慣れていない方たちです。日々の対面による心労は、私たちの想像よりはるかに大きいかもしれません。このゆとり世代の方々は、昭和世代とは仕事に対してある意味正反対です。昭和世代は、お金に仕事のモチベーションを求め、他人より一円でも多く稼ぎ、出世し、ブランド服を着て、自動車を買い、家を買うことが目標でした。物欲といってしまえばそれまでですが、目に見える物や地位に、自分の頑張りの成果、生きた証、正当性を求めました。ですから、それを得るまでの苦労話や成功体験に酔い、それを部下に自慢して嫌われ、世代間ギャップを自ら生み出すというジレンマに陥り、部下の育成に悩むというのが典型です。一方、ゆとり世代の方たちはガツガツしていません。昭和世代が自らの反省を踏まえ、「自分らしくありなさい」という育て方をしたからです。ですから、仕事なんだから、社会人なのだからこんなの当たり前、という考え方に馴染みません。むしろ昭和世代からみればマイペースすぎるぐらいで、お金は欲しいけど残業したくない、昇格したくない、車もいらない、と正反対です。逆に、自分たちの成功体験に固執する昭和世代にあきれ、ある日突然転職してしまったります。

タイパとコスパ

その下の世代の今の新入社員たちは、元祖ゆとり世代たちともまた違う環境下に育っています。ゆとり教育の弊害が叫ばれ、脱ゆとり世代として育てられ、直近はコロナ禍を経験しています。ですから、対価を求めない訳ではないのですが、そこにある物差しはタイパやコスパです。果たして、それが自分にとって無駄な時間や努力ではないのか否か。パフォーマンスが良いかどうか、SNSですぐに情報を共有し評価します。昭和世代からすれば、そんなにすぐには成果はでないぞ、苦労は買ってでもしろと言うぞ、その情報源は本当に正しいのか、とかつい突っ込みたくなること山盛りです。でも、それが彼らがこれまでの人生の中で培ってきた価値観です。それは違うぞ、と押し付ければ、あっという間に退職につながります。では、どうしたらよいのでしょうか。

丁寧な説明、根拠と理屈を示して

昭和世代は、余計なことは言わずに黙ってやれ、仕事は見て盗め、という先輩方から育てられました。ですから、仕事について一からコンコンと説明して教える、ということに慣れていません。なぜそうするのか、自分自身がその理由すら考えてこなかったということもあります。ですから、理屈と根拠を示して相手を納得させる、ということに不得手です。ただ、相手はタイパ、コスパの世代です。なぜ、それはこうしなければならないのか、そうすることでどうなるのか、自分は、会社は、はたまた社会は…。彼らが納得できるよう、こちらから丁寧に理屈と根拠を説明してあげることが大事です。協調性は高いものの、積極性に欠けると言われるのが今の世代の特徴ですから。

全社で価値観の違いを共有すべき

果たして、今の会社ではそういった対応ができているでしょうか。過去を踏襲し、とにかくこれまで通りにやってみよう、いろいろ経験してみようとか、現場単位で「取り敢えず適当に」受け入れていないでしょうか。新入社員が期待とのミスマッチに悩んでいるのは、ひょっとしたら諸先輩側の理解が足りていないせいかもしれません。会社がせっかく採用したのに、その世代の価値観をきちんと理解し、彼らが納得するように向き合っていないのでは、と危惧します。特に懸念されるのは、採用窓口である人事担当は事前に準備していても、短い研修後にいきなりフリーハンドで現場に放たれる若き子羊たちに対し、諸先輩方が何ら勉強も準備もしていないことです。人事部の一人相撲では新しい人材は定着しません。配属先でない部署も含め全社を巻き込み、ゆとり世代のみならず各世代の多様化する価値観を理解し合い共有することが、何よりも大事なのではないでしょうか。

価値観の尊重は甘やかしではない

ただし、価値観を尊重することと甘やかすこととは違います。何だか訳わからないので触らずにアンタッチャブルにしておく、のはいけません。価値観を理解し尊重することは、アプローチの違いでしかなく、到達しようとする目標は皆同じです。決して、彼らを宇宙人や腫物のように避けてはいけません。話せばわかります、協調性は高いのですから。