青空と青い海、心おもむくまま

ご訪問ありがとうございます。このブログのきっかけは、もともと会社時代に社員の皆さんにお送りしていたレターでした。会社や人生の様々な悩みに対するヒントや、楽しく働くきっかけになればと書いていたものです。退職後も引き続き、日々の思いを書かせて頂いております。何か少しでも参考になれば幸いです。また、皆さんからご意見も頂ければ嬉しいので、よろしくお願い致します。

考える力(2020/12号)

今月は仕事における「考える力」ということについて、書かせて頂きたいと思います。

空気を読んで指示を待つだけではなく、自ら仕事の目的や意義等について考える力を身につけませんか。

その力が会社を引っ張っていく力へと育っていくのです。



空気を読む力

 日本における典型的な会社組織では、空気を読んで自分の本音を抑え、組織のルールや規律に従っているということで、組織の安定が図れました。

空気を読む力というのは、良い面に働けば、以心伝心や阿吽の呼吸といった非言語コミュニケーションとして相手の気持ちを察するという力となり、それは共感力として、我々サービス業従事者には大事な能力だと思います。

ただし、空気を読み過ぎると、下手な忖度を生み、同調圧力となって組織を縛る、という弊害も生みます。共感力と同調圧力とは表裏一体であり、それが裏目に出れば思考停止に陥ります。

硬直的な価値観からの脱却

 これまで、失敗があってはならない、取りこぼしがあってはならない、あるべき論や建前通りに事が運ばなければならない、という硬直的な価値観が会社には浸透していました。そのため、部下は上司からの指示を待ち、指示されると「仕事の目的は何か」ではなくて、「どうやるか」という手段のみを考えることが当たり前でした。あいまいな指示でも聞き直したりせず、何とか実行可能な方法を探り、一つの答えにたどり着こうと努力をしました。

ただ、こうした企業文化の中にいると、従業員には常にやらされ感が強まり、諦めによる悟りと、賢い割り切りが会社の中での生きる術となってしまいます。私をはじめとする管理職たちも、自社にはこうしたあきらめ人材が多くて、人が育たないと悩んでいますが、実はこの硬直化した空気そのものが人の育たない原因であることに、気が付いていないかっただけかもしれません。

新しい時代に生き残るために

今年はコロナが蔓延し大きく世の中のあり方が変わりましたが、それが無かったとしても、GAFAに代表されるデジタルサービスの大きなうねりの中で、SDG’sのような新しい価値観に基づき企業の価値が判断されるようになってきた時代において、私達はサービス業であっても、業務において思考停止に陥ってしまうことは許されず、皆さん個々人が「考える力」を身に付けなければ、これから先、企業として生き残っていけないのではないでしょうか。

考える力とは

 「考える力」とは、指示された業務を無条件にこなすための方法や手段を考える力ではありません。与えられた仕事の目的や意味を「考える力」の事であり、自らが事実と誠実に向き合い、会社のミッションに対して自分のやるべきことを明確にし、時には自ら優先度を付けて業務に邁進することを「考える力」と言います。こう言うと、何か新しい難しいことのように聞こえますが、実は古より職人さんの世界で脈々と受け継がれていることと同じではないでしょうか。「親方の背中を見て黙ってついてこい」とはよく言われますが、何も考えるなとは言われておりません。その作業の本来の目的、意味、役割をどれだけ考えたかにより、その弟子の成長は大きく異なります。表面的には、指示された通りに作業をなぞれば良いように聞こえますが、素直に何も考えなかった者と深く考えた者とでは、将来雲泥の差が付くことは自明の理です。

常に考え続ける

 一つ一つの業務に対してその目的、意義を考え、正解がない問いに対して常に考え続けることで、「考える力」を培うことが出来るのだと思います。

従来の常識や正解とされていたことが当たり前ではなくなった世の中において、それを常に考えて見つけようとしていく力は、当社の財産です。

失敗を恐れず、仮に問題が起きても止む無しと考え、起きてしまった問題をいかに小さく消し止めるか、常に当事者意識を持って考えていきませんか。こうすることで、諦めムードが蔓延した古い淀んだ空気も、段々と入れ替わっていくようになるのではないでしょうか。