青空と青い海、心おもむくまま

ご訪問ありがとうございます。このブログのきっかけは、もともと会社時代に社員の皆さんにお送りしていたレターでした。会社や人生の様々な悩みに対するヒントや、楽しく働くきっかけになればと書いていたものです。退職後も引き続き、日々の思いを書かせて頂いております。何か少しでも参考になれば幸いです。また、皆さんからご意見も頂ければ嬉しいので、よろしくお願い致します。

否定しない(2023/5号)

今月は「否定しない」というお題でお送りさせて頂きます。

年をとると往々にして、人の話を最後まで聞かずにそれは違うと持論をぶってしまうことが多いのですが、言われた相手の気持ちを考え、一旦は最後まで話を聞いて受け入れることが大事だと思います。

無意識の否定

これは、既に65年も生きてなお未だにそれができていない私が、大いに自戒を込めてお送りします。

私は、会社での仕事の話や家庭での家族との会話において、つい相手の話を遮って「それは違うよ」とか「そんなの無理」と話してしまうことがよくあります。本人は決して否定しているつもりはなく、むしろ相手を励まし、相手に良かれと思って言っています。ただ、それは無意識に相手を否定していたのです。

否定された人の気持ちは

これまで、あまり言われる側のことを考えたことはありませんでした。相手のためを思って言っているのだから、むしろ相手は感謝しているだろう、ぐらいに思っていました。ところがよくよく相手側に立ってみると、仮にそれが正しくても、自分の意見を否定されることで、自分の全人格までが否定されてしまったように感じたのかもしれません。こちらには、相手の言葉や行動を認めず相手の失敗やミスを責めるのに悪気はなく、相手が言われてもしようがないじゃないか、というぐらいの気持ちが根底にあります。もとより日本人は、閉鎖された島国というムラ社会の中ではっきりと否定しないことを是としてきており、正面から否定されるということにあまり慣れていません。私には、何気なく無邪気に否定する側とそれを真に受ける側に、大きな認識のギャップがあることがわかっていませんでした。特に、これが上司から否定されたと感じれば、部下は委縮して話ができなくなり、その先が続かなくなってしまいます。その結果、上司の期待との間にギャップがどんどん広がり、悪循環に陥っていってしまいます。

自分が絶対正しい?

 また、「何を言っているのだ、自分は正しい、そっちが間違っている」と、自分の正しさをとことん主張することもあります。ただ、よくよく考えてみると、どんなに正しいと言い募り、会話の勝ち負けに拘っても、その会話は最終的にどこに辿り着くのでしょうか。自分が正しいと相手を屈服させ溜飲を下げても何ら解決せず、話はその先に進まず止まってしまいます。そもそも、本当に自分は正しいのでしょうか。正しくないかもしれない、自分はバイアスをかけて見ていないか、思い込みかもしれない、と疑ってみることも大事なのではないでしょうか。「そんなことは絶対にない」ということは絶対にない、と柔軟に物事をみることも大事なように思います。

マウントをとる会話

その他にも、会話の中で無意識に上下関係を作ろうとしてしまうこともあります。「こんなのできて当たり前でしょう、どうしてできないの、私ならこうするのに」などと、上から目線で「こうあるべき論」をぶちます。そうなると、やはり相手は自分の意見を否定されたと感じ、会話は止まってしまいます。ひょっとすると、たまたまその部分は自分の方が知っていただけなのかもしれません。逆のことだってあり得ます。ですから、その人なりに「一生懸命にやっているんだ」と考えた方がいいのかもしれません。確かに相手は自分がやれるようにはできないかもしれませんし、仕事もできないのに優しくすれば付け上がるだけ、という考え方もありますが、べき論で相手を否定しても求める結果は得られないし、それは教育にもなりません。それより、意見やレベルの違う相手と目的を共有し、若しくは一緒に共有できる目的を設定し、一緒に結果を達成する方策を考えた方がよほど建設的なのではないかと思います。

否定しない会話とは

では、否定しない会話とはどうすればよいのでしょうか。まず、受け取る相手の気持ちになって考えることが一番大事なのだと思います。こういう言われ方したら相手はどう感じるか。同じことを言うのでも伝え方、言い回しによって受け取る側の感じ方は全然違ってきます。どうせ良かれと思って言うのならば、相手の気持ちに良かれと心掛けましょう。

また、相手の言うことを最後まできちんと聞くことは言うまでもないことですが、ほかにも次のような方法があると思います。

  • 相手の話を一度なぞることで相手の意見を承認する(だけど同意するわけではありません、それは別です)
  • すぐ喋りたいという自分の欲求と自分が喋るべき事を区別する
  • 無理に良きアドバイスをしようとしない、話を聞くだけでも良いこともある
  • 聞いているのか否定しているかのような表情や態度を取らない適当にわかったふりをしない
  • 否定する時は理由をちゃんと説明する

といったことが大事なのかな、と思います。

あたまから否定しない

往々にして、年配者は若い方を相手にするとき全否定するような言い方になってしまう時がありますが、若い方にもそれなりに理屈があります。決して甘やかすわけではないけど、何でも頭から否定せずに、同意はしないけど意見は認める、という言い方があることを最近学んだので、今回共有させて頂きました。