青い空と青い海、心おもむくまま

ご訪問ありがとうございます。このブログのきっかけは、もともと会社員時代に社員の皆さんにお送りしていたレターからです。会社や人生の様々な悩みに対するヒントや、楽しく働くきっかけになればと送っていました。引き続き、日々の思いをつらつらと書いております。皆さんからご意見も頂ければ嬉しいですので、よろしくお願い致します。

話したいことと聞きたいこと(2024/11/26)

11月も最後の週となりましたが、月曜日から雲一つない晴天でした。木々も色づき、あー秋だなあ、と感じられます。よしそれではと、張り切って我が家のワックスがけをしたところ、情けないことに腰と膝がヒコヒコです。・・・

ベテランさんの満足度の高い話し方

今回は「話したいことと聞きたいこと」について、書いてみたいと思います。

先週末、ボランティアでやっている美術館のガイドに行ってきました。ギャラリートークと呼んでいるのですが、ボランティアが作品のそばで待ち受けして、関心がある来館者に説明します。(美術館によって方法は様々です)昨日は、当館開館以来の大ベテランさんと隣同士で待ち受けました。必然的に隣の大ベテランさんのトークが聞こえてきましたが、なんともいえない自然体の話し方で、接し方が心地良いのです。時間がないので結構です、と断わられたはずでも何だかんだと話をしています。作品のどこに興味を持って、何を聞きたいのか的確に聞き出して、必要十分な情報を提供していました。相手の時間的余裕や興味、聞きたいことに合わせて話しますので、短くても相手は満足して帰っていきます。

トークの準備

ボランティアは、事前に美術館図書室などで作品に関する知識や背景などを調べ、どうお客さんに話をするかまとめて学芸員さんに添削してもらいます。オーケーがでて初めて来館者の前でしゃべることができます。オーケーが出た内容以外を話すことは、原則禁じられています。ボランティアと言えども、間違った知識を来館者に伝えてはいけないからです。

話したいことだらけ

まだ二年目の当方といえば、言いたいことが山盛り、てんこ盛りです。へー、こんなこともあるんだ、あんな風につながっていたんだと、調べたことを全て皆に教えてあげたくなります。それを10分程度で話そうとするので、原稿は結構濃くなります。トークでは、その原稿の全てを伝えようと、怒涛の如く(たぶん)話してしまいます。相手がどこに興味を持ったのか、何を知りたいのか、いちいち聞いている余裕はありません。聞くことはできますが、自分の話したいことが優先です。前回などは、マンツーマンでお話している相手の目が途中でトロンとしてきて、これはさすがにヤバいと説明を切り上げざる得なかった、なんてこともありました。

少しだけ上回って応える

相手の聞きたいことを聞き出して、それに少しだけプラスアルファして返すことで、相手の満足は期待以上となります。隣の大ベテランさんのトークは、そういうことだったと気付きました。きっと、ご自分の持っている知識の一割も披露していないと思います。決して舐めてはいけませんが、お話を聞いてくれる方は美術が好きな愛好家の方がほとんどです。自分にない気付きや視点が教えてもらうだけで、新鮮な感動となって満足度がぐーんと上がるのだと思います。

仕事でも同じ

今になって思えば、仕事でもそうだったのだと思い当たります。たまたま責任ある立場になって、みんなを引っ張っていかなければならない、そういう思いは立派だったのかもしれませんが、何でもかんでも部下と共有しようとしても、それは相手にとって迷惑だったのだと思います。部下たちが知りたい、聞きたいことを引き出して、それに答えつつ、そこからどうやってこっちが真に伝えたいことに繫げていくか、そんな観点が足りなかったと、今更ながら反省されます。

話したいことを一方的に話しても通じない

どんなに自分の言いたいことだけを一生懸命に話しても伝わらない、ということ。いくらこちらが熱意を持って接しても、いくらこちらの地位が高くとも、相手にとって関心のないこと、聞きたくもないことは、真剣に聞こうとはしません。そこを勘違いをしている方、特に中間管理職の方たちに多いようです。熱意をもって己を語れば部下は理解して、きっと一緒に頑張ってくれるはず。ドラマの中の金八先生の熱き情熱が伝わったのは、中学という閉じられた世界だったからでは、と思います。会社という枠は学校より繋がりは緩く、お金で繋がっている部分も正直大きい。ですから打算が働いて、何となく聞いている風だったり、何となく話した風になり勝ちです。

貴方の一方通行ではないですか

「部下には言ったはず、彼らは聞いたはず、ちゃんと報告もきてるし」では、きっと伝わっていません。言葉は悪いですが、彼らは適当に報告しているだけかもしれません。なぜなら、ちゃんと話せば上司から突っ込まれるのがわかっていて、面倒なんです。彼らがきちんと話したくなるように、聞きたいことに応えているのか、ただの一方通行ではないのか。勝手にわかったつもりの一人相撲は、大きなミスを生むのだと思います。

上司と部下のウィンウィン

ボランティアと言えど、美術館の一員としてお客様の前に出ますので、いい加減はできません。責任を持ってお客様の要望に応えなくてはいけない。ただ、それが一方的な知識の押し付けになっていて、結局何ら満足度をあげていない、むしろ下げているのでは問題です。会社でも、部下の満足度なんて以前は考えたこともありませんでしたが、今ではそれは当たり前です。部下に阿ろと言っている訳ではなく、部下の満足度を上げることは業務効率アップに繋がり、結局は上司と部下のウィンウィンになると思うのです。


自分をちょっとだけ抑える

人より少し分かっている(と思っている)自分をちょっとだけ抑えて、相手の目線に合わせて話す。自分が話したいことではなく、相手が聞きたいことを話す。文章に書いてしまえば簡単なことですが、実際には何年生きても難しいことです。

誰か自分という我を殺して、自分を生かす技を教えて下さいませんか。