青空と青い海、心おもむくまま

ご訪問ありがとうございます。このブログのきっかけは、もともと会社時代に社員の皆さんにお送りしていたレターでした。会社や人生の様々な悩みに対するヒントや、楽しく働くきっかけになればと書いていたものです。退職後も引き続き、日々の思いを書かせて頂いております。何か少しでも参考になれば幸いです。また、皆さんからご意見も頂ければ嬉しいので、よろしくお願い致します。

怒ること、叱ること(2022/12号)

今回は、「怒ること、叱ること」というお題で愚考を披露したいと思います。

怒りは自然な感情の発露ですが、最近怒らない人が増えてきています。ただ、自分を守るためには、怒ることも大事です。また、叱るには上手な叱り方があり、むしろその後の対応がとても大事です。叱ったつもりで怒っても、相手には伝わりません。愛情をもって叱るようにしませんか。

怒りとは

心理学では、怒りとは「安心-不安、喜び-悲しみ、期待-心配、寂しさ、悔しさ」といった一次感情の次に湧く二次感情である、と言われています。ですから、怒りの原因にはこういった感情が根底にある、といわれています。そもそも、怒りとは自分を守るための防衛本能として備わっている自然な感情の一つですので、怒ること自体は悪いことではないのですが、最近は何かとすぐにキレる人や、逆にめったに怒らない、怒ったことがない、という人が増えてきています。

怒れない人

キレる方はともかくとして、怒らないとか怒れないという理由は何なのでしょうか。一つには、怒っても無駄だし言っても無駄、と何事にも無関心であることです。また、怒るという感情表現が恥ずかしいことだと思っている、怒って相手を委縮させてしまう責任を取りたくない、自分は良い人でいたいので相手に嫌われたくない、ここで怒っていいのかどうかわからない、怒っているのにそれを怒りと感じていない・・・などが理由かもしれません。ただ、怒らないということは最終的に自分を守ることができず、自分を壊してしまう恐れがあります。

自尊心を守るために怒る

チンケな自尊心はいざ知らず、自分が大切にしている「尊厳や価値観、立場、信念、プライド、家族や仲間等」といったものが壊されそうになった時、それを守るために怒らなければなりません。怒ることで自分の自尊心を守るのです。そして、怒りの感情の下にあるものが何なのか、心配なのか、寂しさなのか、悲しさなのか、一息ついて自分の気持ちを掘り下げてみて、本当の怒りの原因を把握することが大事です。相手に対する上手な怒り方とは、むやみやたらに相手に感情をぶつけることではなく、怒っている理由を明確に示し、今後いつまでに何をどうして欲しいのか具体的に相手に示します、さらに怒るにしても一貫性は必要です。なお、怒ることは心の健康に大事ですが、怒ったからといって物事が即座に解決するものではありませんから、怒りは一過性のものとし、決して後まで引きずらないことも大事です。

叱るとは

さて、次に「叱る」とはどういうことでしょうか。叱ることは、相手に対する教育的な目的があり、相手の成長を促すためでもあります。人の成長に必要なのは、決して優しさだけではありません。料理で、甘味に一つまみの塩を入れることでより甘味が引き立つように、叱られることも人間の成長には大事なことです。ただ、感情の赴くまま怒りをぶつけ、叱ったつもりで自己満足に浸っても、それは教育ではなく単なるパワハラであり、相手にとって逆効果でしかなく、決して行ってはいけません。

上手な叱り方

上手な叱り方とは、決して感情に流されず、上手な怒り方と同じく、一貫性をもって叱る理由を明確に示し、今後何をいつまでにどうして欲しいのか、具体的な方向性を明示することです。そして、一度にあれもこれもと多くを叱らずに一つに絞る事、相手の人格やプライドに配慮し決して人前で叱らない事、相手に対する感謝の意の表明、叱る原因となった事実の再確認、それに対して相手がどう考えているのかについての確認も大事です。

叱った後で

なお、叱りっぱなしではなく、事後のアフターフォローも重要であることは言を待ちません。叱るには、相手の次につながるような叱り方がとても大事だと思います。叱る側とすれば、どうしようもない事で叱らざるを得ないのかもしれませんが、叱る原因となったことは偶然相手に起こっただけなのかもしれないし、自分にも起こり得たことなのかもしれません。また、これまで何度叱っても同じことが繰り返され、相手はあなたの要求水準を満たしていないのかもしれませんが、皆が皆あなたと同じではないのかもしれない、そう思って、憎しみではなく愛情をもって叱ることが大事ではないでしょうか。それに、一度叱って直らなかったといって、それに怒らないことです、そう簡単には人の思いは相手に伝わりませんので。

怒られたと叱られた、の違い

間違っても、叱った相手から「怒られた」と思われないよう、「叱られた」いわんや「叱ってもらえた」と言ってもらえるようになりたいものです。怒ることは、自分が大切にしていることを守るため、自分自身の心のブレーカーとして必要なことですが、叱ることと怒ることは別のものです、自分の感情のままに相手にぶつけただけでは何も生まないし、むしろ自分にも相手にもマイナスでしかありません。

叱ったつもりはやめよう

ですから、怒ることで相手を叱ったつもりになるのはやめたいと思います、怒るなら一呼吸入れて怒るようにしましょう、そして叱るなら相手をみて叱りましょう。