今日は昨日の大雨が嘘のような晴天です。空には雲一つありません。朝のウォーキングは海沿いのコースでしたが、まさにブログのタイトルのようでした。湿気も少なく爽やかな朝を迎えています。どこか遠くの体育の授業が、賑やなBGMとして聞こえてきています。
『静かに退職する若者たち』
さて、先々月先月と退職代行サービスを利用する若い方たちについて書きました。なぜ自分の言いたいことが言えないのか、それぐらい自分で、との思いからです。
今回『静かに退職する若者たち』(金間大介著、PHP研究所)を読み、今の若い方たちに対して、より一層考えを新たにしなければいけないと感じました。それを理解しないオジサンやオバサンたちは(以下オジサンとします)、ますます彼らとの距離が開いていってしまうのだろうな、と少しお気の毒になりました。(詳細は同書を御覧になって下さい)
いい子症候群の人たち
著者の金間さんは、様々なアンケートや統計結果から、今どきの若者を分析しています。彼らのメジャーを占めるのは「いい子症候群」の人たちです。一見真面目でやる気がありそうで、オジサンたちが期待してしまうようなタイプです。いい子たちは、素直で真面目、爽やか、協調性があり、人の話を聞き、言われたことはちゃんとこなします。けれど、横並び意識が高く、一人だけ変なことを言って浮いたり、目立ちたくありません。一人でなく皆で決めたい、場を乱さない演技も得意です。自分だけ取り立てて褒められることに「圧」を感じてしまうので、変に期待をしないで欲しいし、周りと差を付けないで欲しい。能力に自信はなく、群れの中の一員でいることに安心します。
会社がしてくれること
そんな彼らは、会社に対するの考え方もオジサンとは違います。「我々でこの会社を良くしていこう」なんて、オジサンの若い頃は張り切っていましたよね。彼らには、会社というものは自分とは別の次元のもので、自分を成長させてくれる存在であり、そういう用意が当然にされていてしかるべきものなのです。ですから、キャリアやスキルを会社がいかに身に付けさせてくれるか、です。配属にしてもそうです。必ずしも希望通り配属できない事情などは自分とは違うレベルの話であって、希望通りでなければ辞めます。なぜなら、自分の同級生たちが希望通りキャリアを身に付けている中で、自分だけ皆から落ちこぼれるのが怖いからです。
若者の中の変わり者
もちろん、全員がこういういい子症候群という訳ではありません。本当に期待の星になりそうな、やる気満々で自ら積極的にビシバシ動く人たちもいます。でも、そんな彼らは若い人の中でも異端児であり、オジサンにとっても、何だかんだと突っ込んでくる面倒な人です。同じベクトルを持ち、適切なフィードバックと指導を適時行い、かつ行動で期待に応えていかないと、彼らはいい子たちよりも早くサッサと辞めていってしまいます。
オジサンには理解不能
以前、若い方を宇宙人と呼びましたが、今はそれに輪をかけ突き抜けた存在です。まずそれを、経営側も中間管理職も、皆が認めなければいけません。メンターのような数年違いにとっては良い刺激(逆に「圧」)かもしれませんが、年が離れると段々と理解ができなくなります。ただ、理解はできなくとも、そういう考え方なんだと認めることが大事です。それを、オジサンたちの感性に無理やり合わせさせるようなゼロ百の考え方では、いずれ会社は老人ホームと化してしまいます。例えば、いい子たちは「自分一人だけ」とか「親し気に飲みに行こう」なんてのは嫌いですが、部長が課長に「何だ、まだそんなこともしていないのか」と叱るのは愚の骨頂です。自ら彼らの退職スイッチを押した事実に気付かず、「君の教育が悪いからだ」と言っているようではお終いです。
いい子たちの感性を理解する
彼らの感性や特性を理解すれば、教育し能力を伸ばすことは可能だと思います。例えば、一人だけ目立ちたくないのだから褒める時も一人の時にするとか、先頭に立ちたくないのだから複数で事に当ってもらうとか、やり様はいろいろとあると思います。「昔はこうだった、これで上手くいった」のは、昔の若い方たちに対してです。これは、決して若い方に阿るという事ではなく、世代間ギャップを埋めるために年長者が歩み寄ればよいのではないか、ということです。そして、こういうことをきっかけに前近代的な仕事のやり方などどんどん変えれば良い。「~でなければならない」を捨て去る勇気と時代に即した柔軟性が大事だと思います。
根性の見せ方は工夫を
ただ、それは決してオジサンたちの泥臭いやり方や、熱き思いを否定している訳ではありません。業務上、スマートに処理することができないもの、努力とか、根性とか、そういうものだって立派な仕事の一部です。伝え方を工夫すれば、彼らにも理解できない訳ではありません。ただし、彼らはわかったフリで場に合わせる演技も上手なのでそこはご注意を、あとでガチョーンとならないように。